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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

 ひそやかな恋情

 隠れ家を出た二人は、また無言で歩き始めた。王宮を出て、長い時間が経っている。そろそろ春花を連れて帰る頃合いだとは思っていたが、何となく帰る気になれない。このまま、ただの男と女―恋人同士のように春花と並んで町を歩いていたいと思う自分がいることを認めないわけにはいかなかった。
 宮殿に帰れば、また自分と春花は〝王と王妃〟になる。そして、二人の間にあるのは形ばかりのよそよそしい夫婦関係だ。
「殿下」
 唐突に呼ばれ、ユンは俄に現実に引き戻れされる。
「何だ?」

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