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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

「私の我が儘におつきあい下さり、ありがとうございます」
 春花は小さな声で礼を言った。
「いや、中殿。先刻の―」
 ユンは言いかけて言葉を飲み込んだ。
―そんなに宮殿での暮らしが辛いのか?
 そう訊ねようとしたのだけれど、今、それを言ったところで、どうにもならないと判ったからだ。今すぐ彼女を自由の身にしてやれはしないのだ。それに、春花の口から
―あなたの側にはいたくない。
 決定的な言葉を聞かされるのが怖かった。
 春花が消え入りそうな声で続けた。
「本当は兄にもお逢いして頂きたかったのですが」

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