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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

「構わぬ」
 彼は狼狽える尚宮を無視して、単身、大妃の居室へと乗り込んだ。その扉の前に立った時、室内から烈しい声が飛んできた。
「王妃付きの尚宮からその話を聞いたときは、我が耳を疑ったぞ。そなたは自分が何ゆえ、王妃となったか判っておるのであろうな? そなたの務めは一も二もなく殿下の寵を賜り、この国の世継ぎを産むことなのだ。それをあろうことか、殿下の御意を拒むとは何事か!」
 怒りのあまり、大妃の声は震えていた。これはまずい。このまま放っておいたら、ヒステリーはますます手が付けられなくなってくる。

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