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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

 彼は無意識の中に考えて別の石を選んでいたのだ。もし彼が春花を本当に明姫の身代わりとしてしか見ていないのなら、明姫に贈ったのと同じ石を選んだはずである。同じ灰廉石を贈り、明姫にそっくりな春花に身につけさせて、明姫をこの手に取り戻したと悦に入って眺めていただろう。
 だが、彼は敢えて同じ物は選ばなかった。その理由は、同じ石を贈れば、いかにも春花を明姫の身代わりと見なしているようだから。それゆえ、春花は春花だと一人の女性として彼女のために新たな石を選び贈った。
 それが、ユンの何よりの正直な春花への想いだった。

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