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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 想いのゆくえ

 夜になった。ユンはその夜、なかなか寝付けなかった。蒸し暑いせいもあったかもしれない。八月に入ったばかりの真夜中は、床に身を横たえていても、じっとりと嫌な汗が浮いてきて不愉快極まりない。
 大殿の寝所で寝んでいたのだが、ついに寝苦しさと暑さに耐えきれず、寝床から出た。そのまま寝所から出ると、廊下で待機していた若い内官がすっと近寄ってきた。
「殿下、何かご用でも?」
「いや、あまりに寝苦しいものだから、眠れなくて、つい出てきてしまった。少し外で夜風に当たってくるとしよう」

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