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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

―吾子よ、おいでなさい。
 彼女の身体が思わずふらりと前へ進もうとしたその時、殿舎の扉が開いた。
「明姫?」
 明姫は眼を見開き、まだ夢心地の状態で虚ろな視線を動かす。その先―殿舎の真正面の扉が開き、ユンが顔を覗かせていた。
「ユン」
 明姫は短い階を駆け上がり、ユンの腕に飛び込んだ。ユンは最初、愕いたようだったが、やがて躊躇いがちにその腕が明姫を抱きしめた。

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