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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 やはり、仁嬪の許に行こうかとユンは小さく息を吐き、そちらの殿舎に脚を向けた。その刹那、得も言われぬ調べが風に乗って流れてきた。
「これは伽耶琴(カヤグム)だな」
 一人ごとめいて言い、しばらくその場に佇んで耳を傾けていた。哀切でいながら、どこか艶っぽく、たとえようのない音色に強く惹かれた。
 一体、誰がこの夜更けに弾いているのか。ユンは興味を憶えて、音色の響いてくる方に歩き出した。

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