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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 ユンの脳裏に半月前の光景が甦った。許氏の屋敷で春花が泣きながら父修得に取り縋っていた姿が今更ながらに思い出される。
―私をどこにもやらないで。宮殿には帰りたくない。良い娘でいるから、私を家に置いて。
「それならば、私はなおのこと、そなたを名実共に妻にしなければならないようだ」
 春花の眼が開いた。絶望という負の感情を宿した瞳が揺れている。
 ユンは頓着せず、春花の胸に顔を寄せた。こんもりとした膨らみの先端をすっぽりと口に含む。
「いやっ、いや―」
 あまりに抵抗し叫ぶので、彼は手で春花の口を覆った。

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