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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

「助けて。お願い、私、いやなの」
 機転を利かせた金尚宮が自分の上衣を脱ぎ、春花の肩から羽織らせた。その上衣で春花の身体を包みながら、金尚宮は問いかけた。
「中殿さま、殿下は」
「私なら、ここだ」
 王が苦虫を噛みつぶしたような顔で立っていた。夜着がかなり乱れているが、こちらは特に眼のやり場に困るといったことはない。
 だが、春花の一糸纏わぬ姿や身体中に散った愛撫の跡だけで、室内で何が行われていたかは十分想像できた。
「中殿、こっちに来なさい」
 王が手招きしただけで、春花は悲鳴を上げた。金尚宮の背後に隠れて身を縮めた。

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