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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 お気の毒と言いながら、その声音には明らかに侮蔑と嘲笑が混じっているのが子どもの春花にも判った。
 女中たちのやりとりも内容は漠として春花には今一つつかみ取れなかったが、母が父の関心を引こうと空しい努力を続けているらしい―という程度のことは理解できた。更に、母が父に対して望むものが何なのか、それ以上、知ろうとして深入りしてはいけないと子ども特有の鋭い勘で知っていた。
 その頃から、春花は女は何故、男の気を惹くために、無駄な努力をしなくてはいけないのか判らなかった。男に縋らなくとも、女だって一人で生きていける。その気持ちが余計に長じた後は誰にも嫁がず寺に入りたいという想いを助長させたのだともいえる。

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