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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「まだ、お互いに知っているのは名前だけで、殆ど何も知らないような状態で〝好き〟っていうのも変なのかもしれないけど」
「そんなことはないだろう。誰かを好きになるのに、時間は関係ないのではないか。ひとめ惚れという言葉もある」
 まったくユンという男は、こちらを赤面させるような科白を平然と口にできるらしい。
 これが意図しての女を口説く手練手管なのか、気恥ずかしさを知らない天然のタラシなのかは判らなかったが。
 明姫の白い頬に朱が散った。
「互いに好きだというのなら、何の問題もないな」
 勢い込んで言うユンに、明姫は吐息混じりに言った。

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