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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第26章 第二部【身代わりの王妃】 哀しみの果て

 その笑顔を眺め、ユンは少年のように胸が時めくのを自覚した。こんな高揚した気持ちは実に久しぶりのような気がする。
 彼はしみじみと思わずにはいられなかった。大切な人なら、その笑顔を見られるだけで良い、側にいてくれるだけで良い。この歳になって初めて、見守るだけの愛があることを知った。
 たとえ身体を重ねることなくても、愛しい女を永遠に失ってしまうよりはよほど良い。
 花を眺めていた春花が振り向いた。
「ずっと気になっていることがあったのですが、一つだけお訊きしても良いでしょうか?」
「私で応えられることなら、何なりと」

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