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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

「それでは、これにて失礼します」
 もう一度深々と頭を下げて扉を開けた。出てゆこうとしたその瞬間、崔尚宮の声が追いかけてきた。
「そなたは国王殿下とお逢いしたことはあるか?」
 え、と、明姫は立ち止まる。
「いいえ。私のような一介の女官がどうして国王さまのご尊顔を拝し奉ることができましょう。国王殿下にお逢いするなんて、畏れ多いことです」
「そうか」
 崔尚宮は頷き、力尽きたように座椅子に寄りかかった。

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