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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 もしかしたら、ユンは存外に酒豪なのかもしれなかった。世の中には幾ら呑んでも酔わないという奇蹟のような人間がいるものだ。
 現実として、今の彼は既に買ってきた酒瓶を殆ど空にしてしまっている。が、ユン自身は殆ど素面のときと変わらない。辛うじて眦が少しだけ紅く染まっていて、それが紅を眼許にはいたようにも見えて、凄く色っぽい。
 男の色香というものが迫ってくるようで、元がかなりの美貌だけに凄艶ささえ漂っている。
「明姫」
 改めて名を呼ばれ、彼にすっかり心奪われていた明姫は慌てた。
「はい?」
 その拍子に鶏肉を喉に詰まらせて、むせている。ユンが盛大な溜息をついた。

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