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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 結局、その日、二人ともに、ユンの素性については話さなかった。明姫も何度も訊ねかけて、言葉を飲み込んだ。正直、怖かった。
 色々と考えてみても、ユンの正体について、最も可能性がありそうなのは領議政ペク・ヨンスの息子ではないかという線だった。既に彼が領議政の血縁であり、最も近しい甥という立場であるのは知っている。
 だが、甥ではなく、息子なのだとしたら?
 そのときも自分は彼を今までどおり愛せるだろうか? 領議政は九年前、明姫の両親や弟を火事に見せかけて殺した憎い宿敵なのだ。その息子もまた明姫にとって仇であることに変わりはなかった。

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