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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 領議政は朝廷の重鎮であり、臣下たちの間に絶大な影響力・発言権を有している。その上、血縁上も王の母の兄、つまりは王の伯父という立場にあった。これでは若い王が領議政に対して一歩引くのも致し方ないという感が誰にもあったのは確かだ。
 若い頃の大妃を知る者であれば、王妃の気位の高さや高慢ぶりは昔の大妃にそっくりそのままだと知っている。先代の王は大妃の高慢さと嫉妬深さに辟易し、ろくに妻に寄りつこうともしなかった。
 だが、今の国王は妻との間に夫婦らしい愛情を育てようと努力はしていたのだ。少なくとも婚儀を挙げて数年間は。しかし、国王が幾ら心を通わせようとしても、王妃の頑なな態度が変わることはなく時は空しく過ぎた。

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