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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 姪にして嫁の王妃は、大妃にとって息子である王の次に可愛がっている存在である。その王妃に褒められ、大妃は上機嫌であった。
「中殿は、本当に口がお上手だこと。天上の楽園とはいささか褒め過ぎではありませぬか、主上(サンガン)」
「いいえ、もし真に天上の国があるというのなら、その天上の園も母上のこの牡丹園には及びますまい。それほどの眺めにございます」
 王は秀麗な面に穏やかな微笑みを浮かべ、妻の傍らに座した大妃に応える。
 すべてが茶番ではあるが、王、王妃、更に大妃といずれもが演技達者な役者だ。このような宴はつまらぬと態度に露骨に出し、その場をしらけさせる者はいない。

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