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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 明姫は泣きながら走った。どこをどう走ったのか判らない。とにかく今は、できるだけ彼から離れたかった。
 今でもまだ信じられない。蒼い官服を着たユンは見慣れているけれど、王衣を纏ったユンなんて、想像したこともなかった。国王と世子のみに許される龍袍(りゆうほう)に身を包み、威風堂々としていたユンはいつもにもまして凛々しく格好良かった。
 国王殿下はすごぶるつきの美男。後宮では王の顔を見たことのない下っ端女官まで皆、そう囁いていたし信じていた。
 だが、どうやら、その噂は真実だったらしい。

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