身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
とはいえ、最下級の水くみが国王の眼に触れるという機会そのものが稀有なものではあったが。なので、国王の女である女官は一生涯、結婚はしない―というより、できない。
生涯を宮殿で暮らし、たまの宿下がりは許されるものの、重い病気になるか死ぬかしない限り、生きて宮殿を出られることはない。それは上級の女官になればなるほど顕著で、特に女官を統率する尚宮ともなれば、生涯結婚はしなかった。
それでも、年若い女官たちは若い内官の噂をしては盛り上がる。内官と女官の恋愛はこれも規則としては禁止だけれど、尚宮たちは見て見ないふりをしていた。まだ花の盛りの彼女たちがせめて内官と疑似恋愛を愉しむのまでを取り締まるつもりはなかったのだ。
生涯を宮殿で暮らし、たまの宿下がりは許されるものの、重い病気になるか死ぬかしない限り、生きて宮殿を出られることはない。それは上級の女官になればなるほど顕著で、特に女官を統率する尚宮ともなれば、生涯結婚はしなかった。
それでも、年若い女官たちは若い内官の噂をしては盛り上がる。内官と女官の恋愛はこれも規則としては禁止だけれど、尚宮たちは見て見ないふりをしていた。まだ花の盛りの彼女たちがせめて内官と疑似恋愛を愉しむのまでを取り締まるつもりはなかったのだ。