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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 なのに、彼はあろうことか最初、明姫に自分は武官だと名乗ったのだ! 明姫が武官には見えないと言うと、今度は慌てて集賢殿の学者だと言い換えた。
 その方がまだしも信じられそうなユンの雰囲気であったが、それでも、明姫は集賢殿の学者だという話も実はあまり信用していなかった。どうせ適当なことを口にしているのだろうとさして本気にしていなかったのだ。が、意外にもユンの言葉は本当だった。
 だから、蒼色の官服を纏った彼と朝廷で出逢ったときは、かなり愕いた。本当に官吏だったのだと漸く信じられる気になった。ところが、ユンは中級官吏ではなく、この国で唯一無二、最も尊い存在だとされる朝鮮国王であった。

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