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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 一礼した明姫はおずおずと女官長の前に座った。一体、何の失敗で叱責を受けるのだろうかと気が気ではない。
 座椅子に座っていた女官長は明姫を認めると、微笑んだ。
「そのように固くならずともよろしい。別にそなたを咎めようと思っているわけではない」
 最初にそう言われたので、随分と気が軽くなった。それがあからさまに顔に出たのか、女官長はにっこりと笑った。
「そなたが金明姫か?」
「はい」
 明姫は畏まって応えた。むろん、後宮内でも最高位の尚宮と直接言葉を交わすのは初めてである。

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