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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 月日は流れ、都漢陽に再び春がめぐってきた。宮殿を去った明姫は崔氏の屋敷に帰り、祖母クヒャンと二人でひっそりと暮らしていた。女二人だけの住まいは至って静かなものだ―と思っていたのに、相手が祖母では思いどおりにはゆかないのだと考えなかったのは自分が甘すぎた。 
 祖母との同居生活は実に賑やかで、実際、ユンとの哀しい恋の想い出に浸っている余裕はなかった。何と祖母は副業(アルバイト)に占い師紛いのことをやっているのだ。これは明姫も崔氏の屋敷で暮らすようになって、初めて知った。

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