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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 一刻後、明姫はユンの腕に肩を抱かれ、褥に寄り添って横たわっていた。
「迎えにくるのが随分と遅くなってしまったが、改めて言うよ。私の妻になって欲しい、明姫」
 本当はもっと早くに迎えにきたいという衝動と欲求を抑えるのに、ユンがどれほど葛藤したか。明姫は知らない。
 彼はこの一年という時間をかけて、頑なに明姫を側室とは認めぬと主張する大妃と向き合い、ついに母を説得したのだ。そのために、大妃は条件として、いまだに初夜すら迎えていないユン昭儀、及び兵曺判書の娘である曺昭容(ソヨン)の二人の側室の許に王が通うことを要求した。

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