テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 しかし、漸く晴れて明姫と結ばれた今この時、敢えて、そのような話を新妻に聞かせる必要はないとユンは考えていた。彼女にできれば聞かせたくない事実を隠して求婚し、抱いたことが卑怯な方法であることも判っている。
 ユンは腕に抱いた明姫の髪のひと房を掬い、そっと口づける。
「いつかそなたは言ったな。大勢の女たちと後宮で私の愛を分け合うのは嫌だと。だが、愛しい明姫、私は王だから、そなたのその望みは叶えてやれそうにない。たぶん、私はこれから先も新しい側室を迎えることになるだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ