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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 ユンとふと視線が合う。見惚れるほど艶然とした笑みを浮かべた彼の瞳に、欲望の焔が灯るのを明姫を見た。褥に再び押し倒され眼を閉じた明姫の上にユンの筋肉質の身体がのしかかってきた。
 静かな空間にあえかな声が響く。時を忘れて烈しく求め合う二人の身体を障子窓から差し込む夕陽が照らし蜜色に染めている。
 部屋の外では、桜草が傾き始めた春の陽の中で静かに花開いていた。

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