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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 しかし、四ヶ月前、産気づいた曺昭容のお産はなかなか進まなかった。陣痛は来るものの極めて弱く、赤児は生まれる気配はないままに時が過ぎた。このままでは産婦も胎内の赤児も生命が保たないと宮廷医が顔を翳らせた矢先、漸く陣痛が本格的になり赤児が生まれた。
 が。産気づいて四日目に生まれ落ちた赤児は泣き声を上げることはなかった。既に息絶えていたのだ。ついにこの世の光を見ることとなく天に召された赤児は女児だった。無事に生まれていたとしても世継ぎにはなり得なかった。

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