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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第7章 第二話 【桔梗の涙】 異変 

「いかがしたのだ?」
「中殿さま、国王さまのお渡りでございます」
 室外から女官の声が応えた。
「何と」
 王妃は眼を見開いた。入内して王妃に冊封されて以来、既に八年を経ている。良人である国王とは褥を共にすることもなく数年が過ぎ、最早、名ばかりの夫婦と言っても良かった。
 公式の場や大妃の前で夫婦揃ったときには、流石に仲睦まじい夫婦を演じてみせるものの、それがまったくの芝居であるとは宮殿中の者たちが知っていることだ。

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