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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第7章 第二話 【桔梗の涙】 異変 

 それがたとえ上辺だけのものと判っていても、その見せかけだけの優しさに縋りたい、自分はこんなにもあなたを必要とし愛しているのだと伝えたい―そう思っても、誇り高くあれと言い聞かされた身では、何も口にできなかった。
 ただ王の見せかけだけの笑顔に自分も取り繕った笑みを返すのが精一杯だった。
 毎夜、眠りにつく前のひととき、或いはふと目覚めた夜半、どれほどの涙を流したことか。自分の愛してやまない良人が他の女を抱いている場面を思い浮かべては、気も狂いそうなほどの嫉妬と哀しみと絶望を味わった。

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