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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第7章 第二話 【桔梗の涙】 異変 

「―帰る」
 王が立ち上がったのに、王妃は止めようともしなかった。
 扉を開けながら、王は王妃に背を向けた姿勢で静かに言った。
「私たちはやはり、どうしても解り合えないというのだな」
 半年ぶりに訪れた王が早々に帰ってゆくのは、あまり良い兆候とはいえない。しかも、王の横顔は誰が見てもそれと判るほど固く、蒼褪めている。中宮殿の尚宮や女官たちは不安げに互いに顔を見合わせた。

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