テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第7章 第二話 【桔梗の涙】 異変 

「中殿さまっ」
 孫尚宮が悲鳴を上げた。
「大事ない。騒ぐな」
 王妃は左胸を片手で押さえ、荒い息を吐いている。相当に苦しいのであろうことはひとめで知れた。
「ううっ」
 ほどなく王妃は烈しい嘔吐を始め、先刻食べたばかりの朝食をすべて戻してしまった。
「誰か! 誰かおらぬか! 内医院(ネイオン)の医師を呼ぶのだ。早うに致せ」
 孫尚宮は、倒れ伏した王妃を助け起こしながら、声を限りに叫んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ