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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第7章 第二話 【桔梗の涙】 異変 

「中殿が?」
 ユンは愕きを隠せなかった。先刻、気まずい別れ方をしたばかりの妻であったが、あのときは別段特に苦しそうには見えなかったし、具合が悪いようにも見えなかった。
「それで、中殿の具合はどうなのだ?」
「それは何とも申し上げられません。医師もまだ中殿さまのご診察はこれからのようでございますし」
 その瞬間、ユンは叫んでいた。
「中宮殿に戻る!」
 その脚で引き返した彼が見たのは、まるで別人のように蒼白な顔で横たわる妻であった。

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