テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 それに、事件発生からこれだけの時間が経過していれば、一応の報告は既に大殿に届いているだろう。明姫の身柄が監察部に拘束されているとユンが知らないはずはない。
 それでも、ユンが動かないとすれば、それは彼なりの考えがあって―恐らくは国王としての立場ゆえ、動けないのだと察せられた。
 いつか彼は言っていた。
―ただの一人の男であれば叶うことも、玉座に座る身であれば叶わない。
 仮にユンが今、どれだけ自分を助けたいと思ってくれていたとしても、彼の国王としての立場が許さない。彼はそういう人なのだ。自らに課した王としての責任感に可哀想なほど忠実であろうとしている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ