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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

 その時。取り調べ室の扉が勢いよく開いた。
「尚宮さま」
 楊尚宮が振り向き、露骨に顔をしかめた。
「何だ、騒々しい」
 見れば、相当急いだものらしく、女官は肩を上下させ荒い息を吐いている。昨日、楊尚宮が〝この者は信頼するに足る〟と言っていた女官であった。
「実は」
 女官は明姫をはばかってか、楊尚宮に近寄ると小声で何やら耳打ちしている。見る間に楊尚宮の顔が蒼白になった。

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