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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第8章 第二話 【桔梗の涙】 陰謀  

「仰せのとおりです。あの者の態度を思い出しても、思い当たるようなところは全然、ありませんでした。仮に自害を覚悟の上で出向いたのだとしても、何故、今なのかという疑念が残りますし、それなら、遺書を懐にでも忍ばせているのが自然だと思われます」
 側に見張りの女官がいるとしても、今朝までに舌を噛みきって死のうと思えばできたはずだ。
「成女官を殺した者もむろん、それは考えたでしょう。ですが、それができなかったのかもしれません」
 恐らくは成女官を殺して遺書を懐か袖に入れようとした矢先に、監察部の女官の足音が聞こえ、犯人が逃げたとか。やむなく、それで成女官の居室に遺書を忍ばせた―?

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