テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決

 ユンは嫌な予感に囚われ、再度、老いた内官に訊ねた。
「明姫に中殿暗殺を命じられたと名乗り出た女官とは、どのような素性の者だ?」
「私も詳しくは存じかねますが、ふた月ほど前に大妃さまの強いお薦めがあって淑媛さまの御許で働くようになったと」
「―」
 ユンは力尽きたように椅子に座り込んだ。これで辻褄が合う。母が強く薦めて仕えさせた新入りの女官、その女官が明姫が中殿暗殺の首謀者だと名乗り出た。そして、中殿の殿舎から見つかった証拠の品々。
 まったく笑えるほど出来すぎた筋書きではないか! 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ