テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第9章 第二話 【桔梗の涙】 対決

「すべては思いどおりになった」
 満足そうに低い声で呟いた。
 そのひと言に、明姫のこれまでずっと抑えていたものがプツリと音を立てて切れた。
「これで、ご満足なさいましたか? 大妃さま」
 大妃は美しく整えられた爪先を揃え、ホホと口許に当てて含み笑う。
「そなたごとき女がこの私にようも怖れ知らずな口をきくものだ。その度胸の良さだけは褒めてやらねばなるまいのぅ」
 それとも、と、大妃は陰にこもった笑声を上げる。
「それとも、単に礼儀というものを知らぬだけの愚かな小娘なのか?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ