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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

「良い子だ、さあ、次も食べて」
 まるで幼い子どもに対するように褒めてくれる。でも、食べさせるユンの方が嬉しそうだ。本当は食べたくなかったけれど、ユンが歓ぶから、明姫は無理をして食べ続けた。
 今の光景を見れば、大妃でなくても愕きのあまり、引っ繰り返るに違いない。この朝鮮全土が広しといえども、国王に粥を食べさせて貰える女などどこにもいない。
 と、明姫がふいにクスリと笑った。
「どうした?」
 訝しげな視線を向けられ、彼女は微笑む。
「昔のことを思い出していたのです」
「昔?」
 更に怪訝そうになったユンに、明姫は説明した。

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