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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

「これが落ち着いていられるものか。黄内官、一体、何があったのだ、教えてくれ」
「実は金淑媛さまがお倒れになったと」
「何だと? 明姫が倒れた―」
 ユンは悲鳴に近い声で怒鳴った。
「義禁府に行く。すぐに支度を」
 叫んだユンに、黄内官は真顔で首を振った。
「行かれてはなりません」
「何故だ! 何ゆえ、私を止める?」
 黄内官は深々と頭を下げた。
「畏れながら、殿下。先刻、私が申し上げたことをお忘れですか?」
「―」
 ユンは黙り込み、あらぬ方を向いた。

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