身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
去勢した内官でも妻帯している者は多い。というより、皆、それなりの地位にある両班だから、家門の存続のためにも結婚する。もちろん子は望めないので、しかるべき家から養嗣子を貰い受けて家門を継がせるのだ。
「チ、殿下」
黄内官が柄にもなく紅くなった。
「どうした、爺や。熱でもあるのか、顔が紅いぞ?」
ユンがからかうと、六十が近い大殿内官はますます赤らんだ。
「殿下、もう止めましょう。尚膳さまがお気の毒です」
腕の中の明姫をちらりと悪戯っぽい眼で見つめ、ユンは嬉しげに笑った。
明姫にとっても久しぶりに見るユンの晴れやかな表情だ。二人の後から付いてくる黄内官の表情も心なしかやわらいでいるように見えた。
「チ、殿下」
黄内官が柄にもなく紅くなった。
「どうした、爺や。熱でもあるのか、顔が紅いぞ?」
ユンがからかうと、六十が近い大殿内官はますます赤らんだ。
「殿下、もう止めましょう。尚膳さまがお気の毒です」
腕の中の明姫をちらりと悪戯っぽい眼で見つめ、ユンは嬉しげに笑った。
明姫にとっても久しぶりに見るユンの晴れやかな表情だ。二人の後から付いてくる黄内官の表情も心なしかやわらいでいるように見えた。