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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 御前会議の後、領議政ペク・ヨンスは大妃殿に立ち寄った。
 お付きの尚宮さえ下がらせて、大妃は領議政と文机を挟んで向かい合った。
 領議政は一見、それほどの老獪な人物には見えない。美貌揃いで知られるペク氏一族の中では変わり種ともいえ、小柄でやや太り肉(じし)な身体をせかせかとした足取りで運ぶ姿は、〝まるで狸のよう〟と後宮の女官たちから評されている。
 色黒の顔はお世辞にも男前とはいえず、同母妹である大妃や甥の国王、更には自身の娘の中殿などとは全然違う。

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