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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

「さりながら、大妃さま。内医院の医官にも確かめましたところ、間違いなくご懐妊だと申しております。義禁府でお倒れになったのも、実はご懐妊ゆえだったと」
 大妃がギリッと歯ぎしりした。まさか王が内医院の侍医を抱き込んだのだとは思いもよらない。
―生命が惜しくば、言うとおりにせよ。
 大殿に呼ばれて冷えた声音で国王に告げられた侍医ははやそれだけで震え上がった。
「認めぬ、絶対に許さぬ。あのような成り上がり者が次の王の生母になるだなどと」
 大妃は文机の上の硯を腹立ち紛れにぶつけた。硯が扉にぶつかり真っ二つに割れる。

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