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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

「そのようなことはありませんわ。いつもながら、とてもお上手です。淑媛さまのお手にかかると、一枚の布が紙のようになるのですね。まるで今にも飛び立ちそうな蝶と風に揺れそうな桔梗。天才絵師が描いた名画にも引けを取らない出来です」
「それは褒めすぎというものよ」
 明姫はそれでも頬を紅潮させて、嬉しげに笑う。
 明姫が義禁府から解放されて十数日が経った。国王自らが明姫を抱きかかえて殿舎まで連れ帰った時、ヒャンダンを始めとする女官一同は皆、泣いた。特にヒャンダンは弱り切った明姫に取り縋って泣いた。

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