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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

「いらっしゃいませ、殿下」
 淑やかに腰を折ると、ユンは微笑んだ。
「元気にしていたか、淑媛」
「はい。今日も変わりなく過ごしておりました」
「それは良かった」
 ユンは頷き、明姫と並んで殿舎に入った。明姫の居室に脚を踏み入れると、それまで明姫が座っていた座椅子にゆったりと座る。
 その背後には墨絵で描かれた蓮の屏風があった。
 しばらくして、気を利かせたヒャンダンが女官を伴い、小卓を運ばせてきた。
 小卓の上には様々な酒肴が並んでいる。むろん、酒も用意されていた。明姫は二つ並んだ盃の一つをユンに渡し、酒器を捧げ持ち彼の盃を並々と満たした。

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