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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 顔色を変えたユンを領議政は醒めた眼で見つめ返した。
「ご心配なく。我らとてこの国の民であり、臣下です。金淑媛にはとりあえず、無事身二つになって頂かなくてはなりません。現在、殿下に御子が一人もおられないこの状況を考えれば、たとえ廃妃の生んだ御子でも、貴重な存在です」
 万が一、この男が明姫の懐妊を嘘だと知れば―、そう想像しただけでユンの背を嫌な汗が流れ落ちる。
 しかし、領議政は良い意味で勘違いしてくれたようだ。彼は肩を竦めて続けた。
「それに、たかがあのような小娘一人、怖れるには足りません。妃の身分も殿下の寵愛も失った今、あのような女に何ができましょう。

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