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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 聡く勘の良い彼女はまた優しく思慮深かった。ユンの沈んだ顔からすべてを理解し、自ら言ったのだ。
―殿下は私にお別れをおっしゃりに来て下さったのですね。
 その後、頬を染めながら
―抱いて下さい。
 とせがんできた明姫は殊の外、愛らしかった。ユンはそのひとことで理性のたがが外れた。もちろん、その夜が最後という特別な想いもあったには違いない。明姫をこれ以上はないほど烈しく求め、狂おしくその身体を貪った。
 肉体は満ち足りても、心は少しも満たされなかった。幾度抱いても、抱き殺してしまっても―恐らく、あの夜の彼の心が満足することはなかったはずだ。

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