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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

―私はもう、国王殿下の側室でもお妃でもありません。
 そのさりげないひとことは、ユンの心を鋭く射貫いた。
 確かに明姫の言うとおりだった。明姫は今もそのか細い腕に籠を抱えている。洗濯したばかりの衣類をそれこそ山のように乗せて。
国王の妃であれば、そんなことをする必要はない。この二年間、明姫は毎日、他人の衣類を洗濯し、それだけでなく様々な雑用をこなしてきたに違いない。
 そして、そういう境遇に彼女を置いたのは、ユン自身なのだ。今更、自分がのこのこと彼女に逢いにきたからといって、彼女が歓ぶとは思えない。

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