身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
「殿下のご命令で?」
明姫の声音に訝しげな響きを感じ取ったのだろう。維俊は恭しく頷いた。
「淑媛さまには山寺のお暮らしにて色々とご不便もあろうかと女官を一人、お遣わしになりたいとのご意向でございます」
通常、後宮の妃が平民に降格されても、本来なら、お付きの者が何人かは付くものだ。しかし、明姫の場合は観玉寺に来る前に伴は不要と断ったのである。
もちろん、二年前も忠実無比なヒャンダンは一緒に行くと言ってくれた。が、華やかな都の、しかも後宮生活に慣れ親しんだ者にとって、下界と隔絶された山寺での世捨て人暮らしは酷すぎる。それを考えてヒャンダンや他の女官たちの申し出をありがたく思いながらもすべて断り、一人でやって来た。
明姫の声音に訝しげな響きを感じ取ったのだろう。維俊は恭しく頷いた。
「淑媛さまには山寺のお暮らしにて色々とご不便もあろうかと女官を一人、お遣わしになりたいとのご意向でございます」
通常、後宮の妃が平民に降格されても、本来なら、お付きの者が何人かは付くものだ。しかし、明姫の場合は観玉寺に来る前に伴は不要と断ったのである。
もちろん、二年前も忠実無比なヒャンダンは一緒に行くと言ってくれた。が、華やかな都の、しかも後宮生活に慣れ親しんだ者にとって、下界と隔絶された山寺での世捨て人暮らしは酷すぎる。それを考えてヒャンダンや他の女官たちの申し出をありがたく思いながらもすべて断り、一人でやって来た。