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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

 房に戻り、明姫は墨をすりながら思案する。普通の手紙でも良いだろうが、ここはやはり、自分からの手紙だと容易に判らない方が賢明だ。だとすれば―。

 冬空澄蒼蒼
 我的心暗曇
 嵐吹心揺騒
 汝面影不消
 
 (冬空は澄み蒼蒼たれども
 我の心は暗く曇り
 嵐が吹き心が揺れ騒ごうとも
 汝の面影は消え去らない)

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