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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

 だが、明姫は喉元まで出かかっていた言葉を無理に飲み下した。言えなかった言葉は明姫の心に重く沈んでいった。
「いえ、お引き留めして済みません。道中、お気を付けて」
 維俊はまた軽く頭を下げ、足早に石段を下りていった。明姫とヒャンダンも山門をくぐって境内へと戻る。
「淑媛さま」
 背後から呼ばれて、明姫は微笑んだ。
「なあに?」
「先刻、黄内官に何をおっしゃろうとしたのですか?」
 明姫は淋しげに笑った。
「別に、たいしたことではないの」

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