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わすれない

第2章 それぞれの傷

私が目をさましたときにはすでに処置を終えて病室に寝かされていた。


――あぁ、病室かぁ。寝ちゃったんだなぁ。


病室の天井をボーっと眺めながら、ふと 思い出した。


「けいすけ…。」



自分では声にだしたつもりはなかった。


けど、私は声にしていたらしい。


「気がついたか…。肩は大丈夫か?」



声のする方に顔を向ける。そこにはあの男が椅子に掛けて私の手を握っていた。


「……ずっと いてくれたの?」



お礼を言わなきゃいけないのに、出てきた言葉はこれ。


つくづく私って性格は…。


「あぁ、お前が泣くからな。」


男はニカッと笑った。まるで私の心を知っているかのように…。

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